萬屋ひな役 小波すず 第2回




このコラムは3rdネタバレを含みます


<はじめに>


はじめましての方は、はじめまして。
お久しぶりの方はお久しぶりです。コラムでの登場は1stぶりです。
萬屋ひなの声を担当させていただいております、小波すずです。
声優界のすみっこで、ひっそりと、声でごはんを食べさせていただいております。
いまこのコラムを書いているいま、世間は春めいて来ましたが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
私はというと、あさじゅう(朝10時に収録する現場のこと)のための5時起きに備えて、電気敷毛布を全開にしてヤクルトY1000とバンホーテンの快眠ココアと養命酒を体内にぶちこみ、みみほぐタイムを装備したところです。よろしくお願いいたします。


<本作の参加について>


――前作3rdでリタイアしてしまったひなですが、直接的なシーンはなかったとはいえ、
悲劇的な最期を遂げました。
そのような結末を迎えたこと、ひなを演じていてどのように感じましたか?
またその結末を踏まえてなにか意識して演じられた部分はありますか?


事前に頂いていた台本は、抜き台本(自分のセリフ付近のみ抜粋されている台本)だったので、現場でディレクターさんに聞くまで本当に「リタイア」していたのは知りませんでした。3rdということもあり、「これは…どっちだ…?」と思いながら現場に赴き、展開を聞いて例のCGを見るまで、そのようなことになっているとは…まったくおもわず………。あまりに好みすぎる展開に、収録前にニコニコしてしまいました………。「ひなのことが大好きなユーザーさんたちは、焼肉食べるたびにむせび泣くかもしれない……」って思ったら少々かわいそうに思ったのですが………なんでだろう…口角が上がってしまうのは……人体ってふしぎですね……。

ということで、収録前にリタイアを知りはしたものの、3rd本編での演技にはあまり影響はしませんでした。リタイア前はいつものひな。リタイア後の「いっきくんの中のひな」も、まだ記憶が新しいので特に変化はないだろうということで。
ただ、「何かあるぞ」は感じさせたかったので、カウントダウンのみ遊びました。

本作「life sentence」では、先も述べたように「いっきくんの中のひな」ですが、状況が進むに連れ「思い出の中の理想のひな像」が徐々に歪んでいくのを意識しました。あまり他の現場では言わないでそのまま収録させていただくのですが、顔馴染みのエンジニアの方であったのと、今回に関しては出来ればリテイクなしで流れで録りたかったので、音声が録りづらそうなところは事前にお伝えした上で挑ませていただきました。一発オッケーでした。本当にありがとうございます。頭が上がりません…。カウントダウンもどうにかしてくださり………ありがとうございます……。

拙いながら、短いからこそ、いっぱいいっぱい、込めました。
私なりのひなに対する愛を、受け取っていただけましたらさいわいです。


<ヒロインについて>


――ひなはいなくなってしまいましたが、life sentenceでは樹の内で今だ『存在』し続けています。
そのことについて感じられる『感情』や『背景』『美しさ』について何かあればお答えください。


いっきくんにとって、「全てが初めての女の子」で、本当に大事にしたい、大切な女の子だったのだな、と本作を読み終えて思いました。ありがとう、かずきふみ先生、性癖です。
3rdを経て本作に至った今でも悲しみに暮れて忘れられないのは、いっきくんにとって、ひなは全部を教えてくれた存在だったのだと思います。
ひなの演者であるのと、本作を収録してから日が浅いので、まだ上手くいっきくんに感情移入することがあまり出来ないのですが、とにかく「愛だなあ…」と感じます。と同時に「こんなに愛されていて、ひなは幸せ者だな」とも思います。
自分をこわしちゃうくらいのでっかい愛、いいですね。最初に愛した女の子が本当に手の届かない存在になって……忘れられない存在……。巣立ったひなは……いっきくんの中で、誰よりも何よりも輝く一番星になれたんだね……。うーん性癖です。ありがとう、かずきふみ先生。

ところで、描き下ろし特典のひなのウエディング姿、すごくないですか?
ほんとに???まじで?ねえ???って叫びました。ユーザーのみなさまを代表して、ここで感謝を述べたいと思います。ありがとう、さめまんま先生。みんなのゆめを………叶えてくれて………胃の中のものがぜんぶでそうなくらいうれしいです………。嬉しいはずなのに……なんでかな……涙が…………ウゥ……ひなぁ…………ヒンッ…………。


<最後に>


――クリミナルボーダー最終巻楽しみにしているユーザーや、ひなの声がいまだに聞こえるファンの方に一言お願いいたします。
また、これからクリミナルボーダーをプレイするユーザーの方に、どういった部分に注目してもらいたいかお伝えいただければ幸いです。


カレー食べてお好み焼き食べて、焼肉たべよ?
うそです。
3rdをプレイしたユーザーさまの阿鼻叫喚を読んでは「苦しみが深いほど、愛してくれたんだね…愛の証左だね…」とこぼしつつ私自身も泣きながら笑みを深めていたあの頃が懐かしい…。
文章なのでむつかしいとは思いますが、以下の文言はひなの声でお楽しみください。

「いっぱい愛してくれて、ありがとね。
 ね。ひなもね? あなたと会えて、幸せだったよ」

以上です。脳内再生出来ない方は、本シリーズをあと10000000000回プレイしてからもう一度お読みください。

あとは……初プレイの方に………おすすめできる……注目部分………
えっ…………ぜんぶ…?
まだ未プレイなのに先にコラムを読んじゃうわんぱくなおてんばさんは、今すぐ購入してインストールしてプレイしましょう。情緒めためたにして、既にプレイ済みの方々と肩を組んで「人生〜〜!」って叫びましょう。

さて。
いま「これでクリミナルボーダーは、終わってしまうんだな……」とさみしくなっているところですが、思いの外長くなってしまったので、そろそろ締めに行きたいと思います。

ひなに関しては3rdが終わった後に「告知やその他、"◯◯に口なし"のきもちで淡々と済まそう」と思っていたので、最後にこのような機会を与えていただき、ありがとうございました。
3rdのあと、あまりにもエモーショナルなきもちを抑えられず、発売後は近くにいた業界関係者に当たり屋のようにプレゼンと称してネタバレを語り、その内何人かはものすごく興味を持ってくれて「面白そう、プレイするね…!」と感謝の言葉を聞いたり、また何人かからは「まだ…やってなかったのに…!」と苦情を頂くなどを繰り返しておりましたが、おかげで今回は大丈夫そうです。ほんとうにほんとうに素敵な作品でした。関わらせていただき、そしてひなという一人の女の子に声を吹き込ませていただき、ありがとうございました。私の中でも、彼女はきらきらと輝く一番星です。

そして全国のいっきくんたち、さいごまで走り抜けてくれて、ありがとうございました。
あんまり筆を執ることがないので…っていうのと、実はぼろぼろに泣きながら書いているので、とっちらかっためためたな文章かと思いますが、それだけ心揺さぶられた良い作品だったぞ!というのを感じていただければな、と。

それでは、また何かでお会いできたらうれしくおもいます。
小波すずでした まる!