<1:はじめに>
皆様はじめまして、こんにちは、お久しぶりです。
海野あかりに見下されながら
「……豚のようね」と言われたい系シナリオライターの御影です。
前々作『クロノクロック』、前作『
アマツツミ』から引き続き、『
アオイトリ』の企画原案とシナリオを担当しております。
いや、私はフリーなのですがね(苦笑)
そもそも企画原案というお仕事がわかりづらいかもしれないので、説明します。
具体的には
「エロ重視にしたいし舞台は女子校にしよう。洋風より、和風で夏が好みなのだがまあいいや。テーマはいつもの“幸せ”で――芸風のないやつめ。寄宿舎のお嬢様学校なら吸血鬼は必要だな。それにしても主人公が学園で唯一の男か。しかも、お嬢様たちとHしまくってるのか。むかつ――羨ましいから君には酷い目に遭ってもらう。主人公はヒロインのために地面に倒れるべきだ。なーに、大丈夫、最後はハッピーエンドにしてあげるから(詐欺の常套句)」と最初に考える人です。
シナリオはそのままのお仕事ですね。
御影のシナリオ担当は
「いわゆる共通ルート」「小夜ルート」「あかりルート+α」の担当です――『
アマツツミ』より増えてるやん。
「いわゆる共通ルート」と言っているのは、共通ルートがただの日常ではなく、物語性があってプロット的には2本分の思考作業が必要だったからです。体験版1に相当する“始まりの3日間”(ダウンロードは
こちら)にちょっと肉付けすれば、別のゲームが1本作れますね。
毎度ながら「こんな面倒くさい企画とシナリオ構成を考えたやつは誰だ!? 私だ!?」と、文句を言う先がありません。
と、最初にそんな小話をしつつ。
『
アオイトリ』総体の話は、先にディレクターの湯さんがしています。
御影は、もう少し作品そのものに踏み込んだ
『アオイトリ』全体の話と、
シナリオ担当部分のお話をします。
もちろんメアリーも理沙も美果子もかわいいです。
「わたし、メアリーママちゃん♪」かわいい。
猫には負けるが。
<2:『アオイトリ』全体のお話>
この1年の間、御影がなにをしていたかと言うと。
ずっと
「どうしたら『アオイトリ』で『アマツツミ』を殺せるだろう?」を考えていました。
冗談ではなく真剣に。
結論から言うと、諦めました。
正確には、正面から倒すのは諦めました。
ま、無理なものを無理にやろうとするから、いかんのです。
前回の『
アマツツミ』は自分たちの作品ながら、鉄壁です。
家族愛、病気のヒロイン、死生観、エロ、信念、成長物語、言霊、挿入歌、ド安定かつ軽いという素晴らしいプログラム――。
企画やシナリオだけで言っていれば自画自賛ですが、CGや声や音楽などなど、各業種の力と怨念が結集したゲームという媒体では鉄壁です。
どこか1部門の力だけ飛び抜けさせることが出来ても(それ自体は難しくない)、総体で勝てないという意味です。
こうなると、勢い任せに企画を立ててしまうと、結果が運任せになります。
結果とはユーザーさんが楽しいかどうかであり、作品が評価されて売れてお金がもらえるかです。
運任せは好きではありません。御影は運がいい人ですが。
具体的な問題=ポイントを2つ挙げます。
シナリオ構造と、
最終ヒロインの立ち位置です。
“問題”は正しく解決できれば大きな利点になりえます。
◆A:シナリオ構造
今回のシナリオ構造は、
共通ルートから各ルートへ分岐。
最後のシナリオ(あかりルート)だけルートロックがかかっている――というエロゲーの王道構成となっています。
もちろん、『ネタがないからそうする』ではなく
『今回のシナリオを最大威力にするにはその王道構造が必要である』というのが理由です。
その理由の片鱗っぽいものは後述します(全部説明したらただのネタバレになる)。
では、
どうして普通の分岐構造になったのか? = 「アマツツミ」と同じ1本道ではないのか?
の理由を逆に説明します。
まず『
アオイトリ』のシナリオの構造(シナリオの分岐構造)を考えたとき。
『
アマツツミ』と同じ本筋が1本通っている話にすると――少なくとも今は勝てません。
2年後の御影なら勝てるでしょうがタイムスリップは出来ません。
『
アマツツミ』こそ1本道が最適になるように作成した以上、『
アオイトリ』が同一の最適、もしくはわずかに上回っているという程度では、ユーザー様が見慣れてしまっているので評価軸ではマイナスになります。
これは当然の話です。
よしんば上回れても(ギミック満載のミステリとか騙しあいのお話とかに逃げても)、
“『アマツツミ』が好きな方を悪い意味で裏切る”のでは本末転倒です。
この矛盾をどう解消するか。
ひとつの結論は、矛も盾もぶつけずに自分で持っていればよい。
解消しなければいいのです。
つまり、
『アマツツミ』を丸ごと食います。
『
アオイトリ』は『
アマツツミ』の5本目、というより
0本目の本筋ルートと据えました。
テーマレベルにおいても、御影のいつもの“幸せ”であればこそ、ズレも出ません(いつも同じだからな!)。
御影自身、対比構造は得意分野なので無理もしていません。
これらと以下のポイントを含めて、シナリオ構造が1本道ではないのです。
◆B:最終ヒロインの立ち位置
続いて、最終ヒロインの立ち位置です。
商売上の影響がなくなったので、ぶっちゃけると。
前作『
アマツツミ』の最終ヒロインは、確かに核心として高クオリティのプロットを配したが――あそこまで強くする気はありませんでした(※結果そのものは偶然ではなく、最初から狙っていたのは
前回のインタビュー参照)。
元々はCG枚数も他ヒロインと同じに考えていたのです。
ただ、各部署が高めあって
あのクオリティと物量に“なってしまった”のです。
では、こう考えましょう。
“今度こそ意識的に、最終ヒロインに最大威力を集約させる”。
今回は偶然ではなく、経験も元にした必然です。
御影はまったく天才ではないので、ガードの上からぶん殴ることしか出来ないのです。
『
アオイトリ』の最終ヒロインは、海野あかりさんですね。
手応えとして
『アマツツミ』を殺せるスペックになっています(まだシナリオが未完成なので、現段階では断言しきれないですが)。
いやいや、別に最後ではなく、最初から
エロかわいい。
ぞくぞくします。
まとめ。
最終ヒロインを強固にするため、
『アオイトリ』では共通ルートと並行分岐の構造が“必要”になったのです。
体験版第一弾が公開されているなら、この意味の推測は可能だと思います。
ついでに、
「それじゃあ海野あかり以外はオマケか?」と言われそうです。
そんなことはありません。
ひとまずシナリオに限れば、(なんとか全ルート『
アマツツミ』の最終ヒロインを超えられないか?)と頑張りました。
この結果は――御影は共通ルートと小夜ルートまで完成させていますが、さすがに1ルートだけで『
アマツツミ』の最終ヒロインのレベルは無理でした。
正直、そこまで都合よくはいきませんでしたね(苦笑)
しかし、
そのくらいの怨念、もとい目標を定めていることは断言できます。
小夜ちゃんは、クールに見えてアホの子かわいい。
企画の話は以上。
正直、
「ねっとり度をあげたエロとか、克先生の絵はキスだけでも興奮するとか、陥没乳首はやっぱりやろうぜとか、私はふともも派だとか、背景の美麗さとか、最初の山場以降のメアリーのポンコツ化(かわいい)とか、あかりをベッドの上でネチネチいじめたいとか、あかり様に見下ろされながら「……豚のようね」は絶対にシナリオにいれてやるぞとか、電話の悪魔は音声収録で楽しそうですね」とか、色々と語りたいことがありますが。
まあ、だいたい語ったので個別のシナリオの話にいきましょう。
ちなみに、担当外ヒロインの話は、御影がすることは不誠実になるので避けます。ひいきだけではないのでご了承ください。