第1回 ディレクター(企画進行) 湯



<0:はじめに>



皆様はじめまして、あるいはご無沙汰しております。ディレクターの湯です。
この「アオイトリ開発コラム」では――

「『アオイトリ』って、どんな作品かわからない」
「どんなスタッフが、どんな想いで作っているの?」

――など。
今回の作品についてユーザー様が知りたいと思うような情報を、このコーナーから発信できればと考えております。
そこで、ディレクターの私から始まりまして、今後、ライターさんや原画家さん、その他部署のスタッフのこだわりや生の声を、作品の中身とともにお届けできれば幸いです。

ここまでが、『アマツツミ』のインタビューのコピーペーストになります。
手抜きですが、テーマは変わっていません(笑)。


以前より進んだ考えで、わかりやすくお話します。
この発売前インタビューは、ゲームを売るための広報の一環です。
しかし、それ以上に、ユーザーさんに対して私たちが可能な限り誠実であろうとする、意志表示の続きになります。
和食を食べたくて買ったのにゲームの中身が洋食だった――こういう、ユーザー様もメーカーも損をするズレを、可能な限り避けたいと思います。

もちろん、真面目にやりすぎると読む気の起こらない固い文章になってしまいます。
時折ユーモアを挟もうと思いますので、ふざけているわけではないとご了承くださいませ。


<1:『アオイトリ』ってどんなお話?>



さて、「実際の『アオイトリ』の内容はどんなお話なの?」というところですが――
まずは「新作発表」ということで、現在公開されているのはティザーサイト・ムービーのみとなっています。
正式な情報公開は7月27日(木)となりますので、そちらをお待ちください。
体験版も同日公開ですので、是非お楽しみに!

と、ここで話が終わってしまえば「なんのためのコラムか」となりますね(笑)。
ただ、具体的には体験版をプレイしていただくのが一番わかりやすいとは思いますし、ここでは簡単に、大まかな作品の雰囲気・概要についてご紹介いたします。

アオイトリ』は主人公・白鳥律と“触れた者を強制的に幸せにする”という能力、それらを中心として人間関係を描いた「学園恋愛ドラマ」です。
公開中のティザーサイト・ムービーのイメージで「暗い館モノかな?」という印象を持たれた方もいらっしゃったとは思うのですが――繰り返しますが「学園(ミッション系の全寮制女子校※重要)恋愛ドラマ」です。
ある意味、本来は「伝奇モノ」寄りの主人公を学園恋愛モノに投入した、という形にもなっています。

ティザームービー中にあるイラスト(イメージボード)は「舞台像」「キャラクター像」のもっとも顕著な要素と、今作も「ストーリー性をもたせた作品であること」をイメージしていただこう、という意図で制作されたものになります。
キャラによっては「おや?」と思わせるようなイメージボードになっていたりもしますが――
基本は「学園モノ」であり、従来のパープル作品同様、テンポよく楽しめるものになっているのではないでしょうか。

とはいえ、イメージボードから感じ取れるような切ないお話もあり、そういった面でもご期待いただければと思います!


と。
“どこかで見たあらすじのような?”と思われた方もいらっしゃいるでしょう。
あらすじで言えば『アマツツミ』と変わりません。

実は今回の『アオイトリ』は、ある意味では『アマツツミ』との対比作品としても形成されています。
タイトルもそれらしいですね。
夏と冬、神から人間になっていった主人公と、人間でありながら異形の力や存在と関わる主人公など。
アマツツミ』を好んでくださった方にもプレイしていただきたいし、パープルソフトウェアが初めての方は『アオイトリ』が面白かったら『アマツツミ』をプレイしていただきたいとも思っています(他にも色々な作品を取り揃えております)。


以上、簡単な作品紹介でした。
詳細については今後の体験版、それから、キャラデザの克さん・企画の御影さんなどのコラムも公開していく予定ですので、今しばらくお待ちを。




<2:『アオイトリ』のHシーンってどうなってるの?>



作品紹介をさらっと終えたところで、今回の企画の経緯……の前にHシーンのお話をします。
なぜならアオイトリ』ではHシーンが重要だからです。

アオイトリ」における、
・冬という清らかさをイメージさせる季節。
・ミッション系の女子校という舞台。
・主人公の設定や能力。
・ちょっと暗いイメージなどなど。

これらの要素は、全て「HシーンをもっとHにしよう」という目的で企画されています。
最初期の企画の流れとして、本当に、シリアスな作風にするから冬だったり暗く見えるようにしたわけではありません。
重要なのは、淫靡さに繋げるための清らかさです(笑)。
後の項目でお話しますが、“『アオイトリ』では『アマツツミ』を越える”という挑戦すべき目標を設定したとき、まず最初に越えるべきポイントが“Hシーン”だったのです。
その他の要素ですべて勝っていても、Hシーンが後ろに引いたら負けであると定義しました。

というわけで。
アマツツミ』で主人公がルート固定なく複数の女の子とセックスするのがダメな方も、見受けられました。
申し訳ありませんが、この要素は継続いたします。
というより、今回の主人公は設定上、ゲーム開始時点で100人斬りを達成済みです。
誠実に“女の子を喜ばせる”ことを至上主義としていて、セックス中のねっとり度を高くしてみました。

また、今回もHシーンについては一家言ある克さん主導で制作しております。
詳細な“こだわり”については、今後公開予定の克さんのコラムや、体験版のほうでご確認いただければ(笑)。

シナリオのほうも、前作はプレイ開始5分ほどで最初のHシーンが始まりました。
遅かったですね。
この点を反省しまして、『アオイトリ』では開始1分以内にHシーンが始まります。
Hシーンの手は抜かないぞという、私たちの決意表明でもあります。
これはネタバレになるし、インタビューでは伏せておくほうがユーザー様が楽しく驚けるのではないかと悩んだのですが……。
色々と考えた結果、“音声のボリュームにお気をつけください”と言っておくほうが親切であると考えました。
特に、大学や職場、スピーカープレイの方はお気をつけくださいませ。



<3:前作『アマツツミ』から本作『アオイトリ』への流れ>



一番重要な話をしてしまいましたが。
ユーザー様にとって、「エロいのか?」の次に大事なお話をします。
企画開始の流れは、以前と同じです。
すなわち、皆様に良かった・悪かったと思われたところを洗い出すこと。
皆様になにを望まれているのか、ということです。

つまり――
「『アマツツミ』がたまたま面白かっただけで、次はダメなのではないか?」

こう思われることは当然のことです。
前作『アマツツミ』では、前々作『クロノクロック』での反省点の洗い出し、皆様に評価していただいたことをより増強するという考えにより、ありがたいことに多くの方に評価していただくことができました。
だからこそ、

「作っている人間は油断や慢心をしているのではないか?」
「また同じようなゲームを作り、出来が前作を上回れないのではないか?」

それは、まったくもって正当な警戒です。
早速その問いにお答えいたしますが。

“次の「アオイトリ」には自信がある。しかし、ダメと思われてしまうかもしれない”

これが答えになります。
奇妙なことですし、広報だけを考えればありえない回答です。
“絶対に面白いです”と言っておけと自社でも怒られそうですが、最初の通り、広報以上に誠実であろうとすることが、このコラムの目的になります。
もちろん、こうやって一度興味を引く落としどころを作っておいて、この後の説明で盛り上げるという流れは考えております(笑)。



<4:『アオイトリ』のメーカーとしてのポイント>



なぜ“絶対”と保証できないか。
大きいポイントと小さいポイントの、2つをお話しします。
欠点のようであり、欠点とは利点でもあるというポジティブな話です。

大きいポイントは、
“越えなければいけない目標が『アマツツミ』である”ということ。
これに尽きます。

アマツツミ』の評価は、私たちにも自信があり、それ以上に皆様に評価していただけました。
それを越えるゲームをブランドとして覚悟した以上、どうしても“挑戦”すること、“違うこと”が必要になります。
それこそ、やはり『アマツツミ』の関係作品や、似たような傾向の作品を制作するかという話は企画時に行われました――しかし、メーカーとして新しいものを作ることを決定しました。
である以上、『アマツツミ』を本当に好んでくださった方にこそ、“絶対”はお約束できません。
特に、このコラムでもユーザー様を“皆様”と言っていますが、趣味や趣向は人それぞれ。
ひとりひとりに確約することは現実に不可能です。

“絶対”の保証を私たちが胸を張ってできることは、
自分たちがアオイトリでは前作を越える挑戦を行ったこと』になります。
そして、それは言葉だけではなく、態度、すなわちCGや体験版などでご確認いただければ幸いです。


小さいほうのポイントに移ります。
上記のように考えた以上、クオリティを追求するため、基幹スタッフを含めたスタッフの増強・入れ替えを行いました。
これにより、どうしても発生する“制作の不安定さ”が小さいポイントです。
しかし、パープルソフトウェアはもともと基幹素材も外注の方が多く、ノウハウ的にそこまで問題にはなっていません。
むしろ、そういうデメリット以上に、クオリティアップのメリットを実感しています。

原画では月杜さんがお休みで、おっとりに見えつつ一番Hな体つきの理沙、猫科のキュートさが溢れた美果子という赤錆姉妹を担当する、原画のあきおさん。
ティザーサイト・ムービーなどで目にされてインパクトのある背景のわいっしゅさんが参加されています。
また、シナリオでも『ニュートンと林檎の樹』で有名なブランドLaplacianの代表・緒乃さんが参加されます――なぜ他社の代表の方が参加するのでしょうね?(このあたりの謎も以降のコラムをお楽しみに)。

全員はご紹介できませんが――
スタッフ情報や今後のコラムでお話をする方もいると思いますので、今後の情報をよろしくお願いいたします。



<5:『アオイトリ』のHシーンとシナリオ容量>



最後にディレクターの私から言えることで、皆様が知りたいであろうこととしまして。
Hシーンの回数と、シナリオ容量について、この場で公示しておきます。
早期インタビューという形式上、開発途中もいいところで、確定した数字ではなく詳細に語ることもできませんが、ご了承ください。

Hシーンは全体で20回以上をひとまず想定中です。
アマツツミ』とほぼ同量であり、増える可能性も高いです(笑)。

シナリオは“共通ルート+4ヒロイン+α”で2MBは軽く超えるだろうくらいです。
1ヒロインごと『アマツツミ』の本筋1ルートとほぼ同じくらいで、+αがあり、全体では前作『アマツツミ』から派生ルート2つ分くらいが減った感じでしょうか。
これについては、『アマツツミ』が本編とFD同時に作るみたいな物量でやりすぎた感もあることと――

「1本道ではないの?」
「派生ルートはやめたのか?」
「ぶっちゃけアマツツミに勝てるの?」

と思われるでしょうが。
今回は“1本道+派生ではないシナリオ構造”が必要&最適な作品になっているだけです。
シナリオの物量も、面白さを最適化することを基準に考えられています。
はじめに言ってしまいますが、ラストヒロインとなる海野あかりにだけルートロックがかけられています。
彼女が『アマツツミ』を越えるために仕込まれた存在です。
他ルートの手を抜いているなどではなく、作品最大の威力が集約されるように企画されているとご理解いただければと思います。


<6:体験版について >



まとめとしまして。
お話した要素を感じ取っていただくにも、体験版をプレイしていただければ幸いです。

今回も複数回の公開、および最終的に1ルートを全公開しようと考えていますが、現状で予定が確実なところからお伝えします。

「体験版:第1弾」として『共通ルート3日目まで』
「体験版:第2弾」として『共通ルートの分岐地点まで』を予定しております。

少々特殊ですが、
「体験版:第1弾」は内容的に『アオイトリの前日譚』に近い内容になっております。
実は「体験版:第1弾」では学園要素が少ないです。
全ヒロインが登場して、作品の日常的な雰囲気がわかるものは「体験版:第2弾」になる予定です。

少しだけ「体験版:第1弾」のことをご説明しますと。
主人公の設定・女子校という舞台・ギミックとしての“悪魔”の存在など――
これらを日常パートと混ぜて物語にすると、とても冗長でわかりづらい=プレイする方にとって面白くない内容になると判断したためです。
この問題を解決するため、『共通ルート3日目までに基本設定を中心とした1つの小話』を形成しております。

具体的には、
メアリー・ハーカー(kawaii)が、舞台となる学園に通えるようになるまでの物語であり。
1つの旅の終焉として、彼女が涙を流せるようになるまでの静かなお話になります。
そして――共通4日目からメアリー・ハーカー(kawaii)がポンコツ化します。
お楽しみくださいませ。

「体験版・第1弾」は7月27日公開
「体験版・第2弾」は9月中旬公開を予定しています。
尚、「第1弾」ではあかりのHシーン、「第2弾」は小夜のHシーンが含まれています。

まずは「体験版・第1弾」の公開と同時に、こちらの『アオイトリ』紹介ページも正式に公開いたします。
そちらも含め、続報を今しばらくお待ちください!



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