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シナリオ 森崎亮人



<はじめに>


ハピメアおよび続編FDの企画構成とシナリオを担当しております、森崎亮人です。お久しぶりの方はお久しぶりです、初めましての方もよろしくお願いいたします。
最初のハピメア(無印)から始まりFDという名の事実上の続編、ライブ中のボイスドラマや各種グッズ、音声作品やドール(!?)まで長らくご愛顧いただき、ありがたく思っておりました。
そうして続いてきた中、パープルソフトウェアさんから「10年目にリファインした物を出したい」というお話をいただき、引き受けた次第です。


<森崎先生にとってハピメアとは>


――ハピメアリリースから十年ということですが、多くの作品を手掛けられた森崎先生にとってハピメアはどういう作品ですか?

前項目で触れた通り、ライブの台本や音声作品など、シナリオライターとして「有栖達が話す際」には関わり続けてきました。なので最初が10年前という意識はほとんど無く、むしろそんなに長い付き合いになったのか、という不思議な感覚があります。
また劇中でも、主に舞亜が語っているように「何度も繰り返してきた」というのは、当時は「それぞれのユーザーさんがプレイした分、繰り返している」というニュアンスでもあったのですが(つまり、世に出てプレイされた回数だけ繰り返していた)10年の間に、ライブの合間にお邪魔したり、他の作品のコラボに出かけたり、僕が同人で短編を書いたり、有栖役の北見さんの配信で出てきたり「ゲーム内では語られていなかった出来事」が積み重なり、想定していなかった広がりや奥行きが生まれたと思っております。

主軸はやはり、モチーフになっている「不思議の国のアリス」やグレゴール・ザムザの「変身」でも語られている「夢と現実」であり、テーマとしてはいろいろな作品で語られているものではありますし、物書きとして1度取り組んでみたい物でした。


<今作の追加要素(アナザールート)について>


「FDの最後のシーン」がハピメア全体のエンディング。という受け取り方になるのはゲームとしての構成上当然なのですが、必ずしもあの場面にたどり着くわけではない、という部分を提示出来れば良いなと長らく思っておりました。
劇中の外でそれを言っても仕方の無いことなので、こうして改めて「リファイン」出来たことは嬉しいです。
そういった側からここで言うの? という部分もありますが。FDの最後のシーン以外にも透がたどり着く未来はいくつもあり、誰が側にいるか。あるいは誰もいないのか。
――そもそも彼らは「本当に目を覚ましたのか?」という部分も含め「劇中で一番未来(最後)の話はどこなのか?」というのはプレイした方が選んでいただければと思います。


<キャラクターについて>


ヒロインとして誰が好き、という話ではなく。強い、という意味だとやはり舞亜が頭一つ抜けているというか、別の軸にいます。
ここに関しては既プレイの方は「そうだろうね」となるかと。

そこから少し踏み込みますと元々、ハピメアという企画を固める際。当初はもっとコメディに寄っていた(クリスマスの辺りに名残がありますね)のですが、そんな中に舞亜が来て「こっちか」と今の形になった。という話でもあります。

ただ、実は舞亜よりも有栖の方が僕の想定を越えて好き放題しています。(もちろん良い意味で)
有栖は当初「もう少し知的でミステリアスだった(やんわりとした表現)」んですが、原画の克さんのご意見や、こもわた遙華さんのSD絵などを受けて、どんどんあんな感じになっていき、北見六花さんの有栖がしゃべり出すと「あー、なるほど?」と、僕が認識を改める側になっていました。キミ、もう少し考えて動いてると思ってたらそうじゃなかったんだね!? みたいな感じで。

今回の追加シーンの一つは、そんな有栖が「こっち」だと教えてくれたと考えてます。


<最後に>


ハピメアという作品は、制作に携わった方皆様のお力が合わさって完成しており、また応援してくださった皆様のおかげでこうして10年目にリファイン出来たものだと思っております。本当にありがたく、また幸運な作品だと思います。

初めて有栖達のビジュアルを見た時に「僕が思ってた100倍可愛い!?」と驚いた気持ちは今でも覚えております。大げさではなく。
「なんで咲が起こしに来て、透は何もしないんだろう?」という疑問から、ますます彼の根深いものが強くなっていったり、弥生の夢の姿がエッチすぎて「だからこそ」の部分を僕も改めて理解したり、景子の「横に弥生がいるから気づき辛いけど、キミも大概だぞ」な部分に、ユーザーみたいな視点でうなずいたりしておりました。
有栖、有子は最初から同じ方にお願いする予定で、北見さんは想像以上に有栖だったし有子でした。(FDの有子の裾掴んでくる所、凄いですよね)(唐突に同意を求める)
咲も、青山さんのおかげで「透と咲の、あの関係性」に対して説得力に深みが出たと思っております。
弥生も風音さんだからこその、美人と可愛い、頼れるけどあてにならない、その不安定さが綺麗でした。
景子も、あの良くも悪くも猫のようなところや、目を離せない部分は青葉さんにお願いして良かったです。

そして。
舞亜は声もビジュアルも、本当に想定していた何倍も「舞亜らしく」本当に幸運でした。
既プレイの方はご存じの通り「ああいう子」なので、企画当初やシナリオを書いている間、嫌われるかもという不安がずっとありました。
けれども「ああいう子」の部分を殺さず、今のようになれたのは僕以外の皆様のおかげです。
そもそも舞亜役の遠野さんの収録時、どう説明するべきかと思ったけど説明必要無かったし、最初から完璧に舞亜でした、ありがとうございます、凄かった。(10年前からの感想と報告)

当時は「急にこの路線は、ユーザーさんが受け入れてくれるだろうか」という不安もありましたが、こうして10年目を迎えられたことを嬉しく思います。
「ハピメア・リグレットエンド」よろしくお願いいたします。