『ハピメア』
「内藤透」は、子供の出来事を境に夢の全てを明晰夢――夢を夢だと自覚してしまうようになってしまっていた。
眠ることが休息にはならず、朦朧とした日々を過ごす透は、幼なじみの「蓮乃咲」に心身共に支えられ、時にもてあそばれながら過ごしていた。
心をすり減らしながらも、善く生きようとする透を面白がり面倒を見る科学部の先輩「弥生・B・ルートウィッジ」。
家に居場所を感じられず、ギターを片手にうろつく後輩「平坂景子」。
彼女らとの日々のさなか、透は今日も夢を見る。
けれどその日の夢は、今までとは違う夢だった。
「こんばんわ、いい夜ね」
透が明晰夢を見るようになった原因、それまで1度だって夢ですら会うことが出来なかった女の子「舞亜」が夢に現れる。
会いたいと望み続けていたけれど、会うことはないと諦めていた後悔に透が潰されそうになった時にもう一人の少女が現れ、彼の手を引く。
「きみのことを助けにきたよ!」
悪い夢を止めるためにやってきたと言う「鳥海有栖」。
ぎりぎりの淵でとどまる透の耳元で舞亜はささやく――。
「これは甘くて幸せな、悪い夢のお話」
『ハピメアFD』
「内藤透」は、子供の出来事を境に夢の全てを明晰夢、夢を夢だと自覚してしまうようになってしまっていた。
そしてある冬。
望み続けていた夢に囚われ、二度と目を覚まさないかと思われたが、過去に向き合いその「幸せな悪夢」は終わりを告げた。少なくとも、そう思っていた。
そして次の春。
透がかつて入院していた頃に友達になった女の子「鳥海有子」が、春から復学し学校に通いだすようになった。
同じ「幸せな悪夢」を見てきた咲、弥生、景子らも、有子に手を貸す透を放っておくことはなく、新たな学園生活は順調に進んでいく中。
透は1人、割り切れない思いを抱え続けていた。
舞亜への思いを自覚し、有栖と会えなくなる道を選んだ。
その選択を正しかったと信じているが、正しさだけで納得出来る訳でもなかった。
そして何より、有子に有栖の姿を重ねることは2人のどちらに対しても不義理でしかない。
いつか割り切れるだろうか、と後悔を持て余す透の前に、再び夢が迫る。
「覚めない夢はない、確かにそう言ったわ――けれど、夢をみなくなることもない」
「終わったと思った?それとも、望んでいたのかしら。後悔、それとも期待?ふふ、こんな夢ばかり見て。ほんとうにしょうがないんだから」
「これは甘くて幸せな、終わりを見に行く夢のお話」