『キスも恋も奪ったもん勝ち』
罪木ツミは青春真っただ中の大学3年生。
親友の貝柱カイから斡旋してもらった
風俗嬢の紹介文制作アルバイトをしながら、
気の置けない友人たちとそれなりに楽しく青春を謳歌していた。
しかし彼女いない歴=年齢、
「これは青春なのか?」
と常々疑問を抱き続けていたツミ。
もちろん童貞であり、
「ファーストキスは一番大事な人」
と決めている貞操観念の強い彼ではあるが、
いい加減彼女が欲しいと欲求は溜まっていくばかりだった。
そんな何気ない日常の中、
ある日キャンパスでうたた寝をしていたツミは
唇に柔らかい感触を感じる……
目が覚め、慌てて起き上がると教室を出ていく誰か……
ファーストキスを、
奪われた―――
なによりも大事にしていたファーストキスを奪われ、
慌てふためくツミは早速犯人捜しを始める。
……とは言ったもののどう探せばよいのか?
「さっき俺にキスしましたか?」
とキャンパス内を聞き回るのは、
あまりにキモすぎるのではないか?
「こうなれば思い当たる人物に一人一人聞き込みするしかない」
ツミは誓う、「必ず犯人を見つけてみせる」と。
しかしその行動はやがて、
彼の青春を大きく揺るがす事態へと進展していく事になるとは、
まだ誰も予想出来てはいなかった……
「あー、あのさ?すげぇキモいこと聞くんだけど」
「さっき俺にキスした?」